左利きの選手はキャッチャーに向いていない

野球において、キャッチャーの重要な役割の一つが盗塁阻止です。しかし、左利きのキャッチャーの場合、右投げのキャッチャーと比べて盗塁を防ぎにくいという大きな問題があります。その理由の一つが、右打者の存在です。

プロ野球やアマチュア野球の世界では、右打者の割合が圧倒的に多くなっています。これは、人口の中で右利きの人が多いことに加え、左投手に有利な左打者の育成が重視されるため、結果として右打者の比率が高くなるためです。

右打者がバッターボックスに立っていると、左投げのキャッチャーが二塁へ送球しようとした際に、打者の体が視界を遮る障害となります。これにより、投げる際のタイミングが遅れたり、スローイングの軌道が乱れたりすることがあるのです。

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キャッチャーのもう一つの重要な役割が、本塁でのタッチプレーです。ホームベース上で走者をアウトにする際、キャッチャーはボールを受け取りながらランナーをタッチしなければなりませんが、この動作において左利きのキャッチャーは不利になります。

右投げのキャッチャーの場合、三塁方向からの走者が本塁に突入してくる際、左手でグラブを持ち、右手でボールをキャッチして素早くタッチを行うことができます。自然な体の流れでタッチ動作を完了できるため、スムーズにプレーができるのです。

しかし、左投げのキャッチャーの場合、右手にグラブを持ち、左手でボールを扱うことになります。このとき、タッチを行うためには、体を大きく回転させる必要があり、一瞬の遅れが生じてしまいます。

キャッチャーにとって、盗塁阻止以外にも重要なのが、走者の進塁を防ぐための素早い送球です。特に、三塁への送球が難しくなることが、左投げのキャッチャーが不利とされる大きな理由の一つです。

右投げのキャッチャーであれば、ボールを受けた後、素早く体をひねって三塁方向へ送球することができます。しかし、左投げのキャッチャーの場合、三塁方向に投げるためには、体を大きく回転させなければならず、そのぶん送球が遅れてしまいます。この一瞬の遅れが、相手チームにとってはチャンスとなり、結果的に進塁を許してしまう可能性が高くなります。

また、バント処理の際にも問題が発生します。右投げのキャッチャーは、前に出た後、自然な流れで三塁へ送球できますが、左投げのキャッチャーは送球前に余計な動作が加わるため、素早く送球するのが難しくなります。このような細かい動作の積み重ねが、試合の流れを左右する場面では大きな違いとなるのです。