賛否両論のクライマックスシリーズ
かつてプロ野球の日本一は、シンプルにセ・リーグとパ・リーグのそれぞれのリーグ優勝チームが戦う「日本シリーズ」によって決まっていました。この方式は1950年に日本シリーズが始まって以来、長年続けられ、ペナントレースで最も多くの勝ち星を挙げたチームがそのまま日本シリーズに進出するという流れが確立されていました。
この時代のペナントレースは、まさに「シーズンを通して一番強いチームを決める戦い」とされ、シーズンを通じて安定した強さを見せたチームが、リーグの頂点に立つことができました。そのため、リーグ優勝チームが日本シリーズに進出するのは当然の流れであり、シーズンを戦い抜いたチームが報われる構造になっていたのです。
こうした背景から、2007年に「クライマックスシリーズ(CS)」が導入されました。これは、レギュラーシーズンの上位3チームがプレーオフを戦い、日本シリーズ進出を争う方式です。これにより、シーズン終盤まで多くのチームに日本シリーズ出場の可能性が生まれ、ファンの関心を維持しやすくなりました。
クライマックスシリーズは、まずレギュラーシーズン2位と3位のチームが「ファーストステージ」で3試合制(2勝先取)を戦います。その勝者が、リーグ優勝チームと「ファイナルステージ」で6試合制(4勝先取)を戦い、勝ち抜いたチームが日本シリーズに進出する仕組みとなっています。
ファイナルステージでは、リーグ優勝チームに1勝のアドバンテージが与えられるため、シーズンを通じて優れた成績を収めたチームが多少有利な状況で戦うことができます。
クライマックスシリーズの導入によって、ペナントレースの価値や日本シリーズ進出の公平性について、様々な意見が交わされるようになりました。
特に、シーズンを通じて圧倒的な成績を収めたリーグ優勝チームが、短期決戦のクライマックスシリーズで敗退し、日本シリーズに進めないケースが出たことで、ファンの間では「本当にこれで日本一のチームを決める方式として適切なのか?」という疑問の声もあります。
一方で、クライマックスシリーズがあることで、シーズン終盤まで多くのチームが優勝の可能性を残し、観客動員数の増加や試合の盛り上がりにつながっているのも事実です。
過去には、リーグ3位からクライマックスシリーズを勝ち上がり、日本シリーズで劇的な優勝を果たしたチームもあり、「短期決戦に強いチームが勝つのも野球の醍醐味」と考えるファンも少なくありません。
また、選手や球団側の意見も分かれています。リーグ優勝したチームは、日本シリーズ進出までに1〜2週間のブランクが生まれるため、「試合勘が鈍る」との懸念があります。
逆に、クライマックスシリーズを戦い抜いてきたチームは試合をこなしながら勢いをつけられるため、日本シリーズでもその流れを維持しやすいという側面もあります。