全プロ野球選手の憧れとなっているトリプルスリー

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「トリプルスリー」とは、プロ野球選手が1シーズンで「打率3割」「本塁打30本」「盗塁30個」を同時に達成する偉業のことを指します。

この記録は、打撃力と走力の両方を兼ね備えた選手しか成し遂げられないため、非常に難易度が高いことで知られています。

打率3割を達成するには、安定したコンタクト力とミート技術が必要です。

さらに、本塁打30本にはパワーやスイングスピードが求められ、盗塁30個を達成するには俊足に加えて相手の投球モーションを読む洞察力も必要となります。つまり、トリプルスリーを達成するには単なる打撃の才能だけでなく、複数のスキルを極める必要があるのです。

また、日本のプロ野球では年間の試合数が143試合と限られているため、シーズンを通して高いパフォーマンスを維持し続けることも重要になります。コンディション管理や怪我の回避も、トリプルスリーを達成するうえで大きな課題となるのです。そのため、毎年多くの優れた選手が活躍している中でも、トリプルスリーを記録できる選手はごくわずかしかいません。

トリプルスリーの難しさの一因は、単なる「強打者」や「俊足の選手」では達成できない点にあります。たとえば、打率3割や本塁打30本を達成できる選手はいるものの、盗塁30個を成功させるだけの走力や技術を兼ね備えている選手は限られています。

逆に、盗塁数が多くてもパワーヒッターとして30本塁打を打てる選手は少なく、いずれかの要素が欠けてしまうことがトリプルスリー達成の壁となっています。

また、長打力がある選手は一般的に体格が大きく、走力が衰えがちです。逆に、俊足の選手は小柄なことが多く、本塁打を量産するパワーが不足しがちです。そのため、両方の能力を高いレベルで維持するには、単なるフィジカルの強さだけでなく、バッティングフォームやスイングの最適化、走塁技術の向上など、細かい調整が求められます。

日本プロ野球において、トリプルスリー達成者として最も有名な選手の一人が東京ヤクルトスワローズの山田哲人選手です。彼は2015年、2016年、2018年と3度もトリプルスリーを達成しており、その総合的な能力の高さは他の選手と一線を画しています。

山田選手の強みは、長打力と俊足を兼ね備えている点です。身長180cm前後と、パワーヒッターとしては特別に大きな体格ではないものの、バットコントロールとスイングスピードの速さによって本塁打を量産しています。また、足の速さだけでなく、盗塁技術や相手投手のクセを見抜く洞察力にも優れており、30盗塁を成功させる能力を持っています。

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