ピッチャーはより専門性が高いポジションになる

ピッチャー

かつてのプロ野球では、先発投手が試合の最後まで投げ抜く「完投」が一般的でした。特に昭和の時代には、「エースはチームの柱であり、最後まで投げきるのが当然」という考え方が根付いていました。投球数の制限も厳格には管理されておらず、エース級の投手が年間300イニング以上を投げることも珍しくなかったのです。

例えば、日本のプロ野球では昭和の名投手たちが何度もシーズン完投数の記録を塗り替え、連投や1週間での複数登板が当たり前のように行われていました。海外でも同様に、メジャーリーグのスター投手は「1試合で100球を超える投球は当然」とされていた時代がありました。

このような環境の中で、タフなスタミナと精神力を持つ投手が重宝され、少ない登板機会であっても長いイニングを投げ続けることが評価されていました。

近年では、ピッチャーの肩や肘の負担を軽減するため、登板間隔や投球数の管理がより厳格になっています。球団は投手の寿命を延ばし、シーズンを通して安定したパフォーマンスを発揮させることを重視するようになりました。

そのため、先発投手は100球程度で降板し、リリーフ投手が試合を締めくくるという形が一般的になっています。

特にメジャーリーグでは、投球数の管理が徹底され、1試合あたりの球数制限やローテーションの厳密な運用が進められています。日本でも、1週間に1回の登板が基本となる「先発6人制ローテーション」が広く採用され、投手の負担を分散する方向にシフトしています。

これにより、先発投手が過度な負担を背負うことなく、シーズンを通じて安定した成績を残しやすくなりました。

また、リリーフ投手の役割も細分化されるようになりました。中継ぎ、セットアッパー、クローザーといった専門的な役割が確立し、試合の流れに応じて最適な投手が起用されるようになったのです。特に、リリーフ陣の整備が進んだことで、先発投手は「完投を目指す」必要がなくなり、より効率的な試合運びが可能になりました。

分業化が進むことで、試合に登場するピッチャーの数が増え、チーム全体での投手起用がより多様化しています。先発投手が序盤を作り、中継ぎ投手が試合をつなぎ、抑え投手が試合を締めくくるという継投策が一般的になり、それぞれの役割に適した選手が活躍できる環境が整いました。

これにより、リリーフ投手の価値が大きく向上しました。かつては、リリーフ投手は「先発になれなかった投手のポジション」と見られることもありましたが、現在ではクローザーやセットアッパーとして、試合の終盤を締めるスペシャリストが高く評価されています。

特に、球速の速い投手や変化球に特化した投手は、リリーフでの起用によってその能力を最大限に発揮することができるのです。